

どうも、yossyです。
「読書術に関する本ってたくさんあるけど、昔もあったのかな…。」「本を読まずに済むならそれに越したことはないんだよな…。」あなたは、読書をするときにこのような悩みをもったことはありませんか。
わたしも、今、読書術に関する本を読み漁っています。毎日のように本を読んでいて読書を楽しんでいますが、読まなくても済むならそれに越したことはないと思っています。
読書術に関する本を探していると、1冊の本が目に入ってきました。「読書術?。シンプルなタイトルだな。」と興味が湧き、読んでみることにしました。
今も昔も読書の本質は変わらない。
今も昔も読書の本質は変わらない。
筆者は、1962年に光文社からこの本を出版しました。その後、岩波書店からのオファーを受けて、発刊されました。つまり、60年以上読み継がれてきたものです。古典の一つといってもよいでしょう。
目次を見ると、
- おそく読む「精読術」
- はやく読む「速読術」
- 本を読まない「読書術」
- 外国語の本を読む「解読術」
- 新聞・雑誌を読む「看破術」
- むずかしい本を読む「読破術」
と書かれています。現代と事情が異なりますが、読書術に関して、現代でも通じる部分が多いのが特長です。戦争を体験し、高度成長期とともに生きた筆者の読書術についてあますことなく書かれています。
この記事では、「精読術」「読書術」「読破術」について深掘りしていきます。
精読術
精読というのは、一字一句丁寧に読むことです。現代の読書術は、どちらかというと速読の観点から書かれていることが多いです。
- 事前に読む準備をし、目的をもつ。
- 必要なところを読む。
- アウトプットする。
多くの速読術は、このような流れで読んでいきます。筆者も、あなたに対して飛ばし読みを勧めています。
速読術には、向いている本とそうでない本があります。速読に向いているのは、ビジネス書です。それに対して筆者の言う精読術は、古典を読むときにつかうものだと書いています。
“むかしの人は、「読書百遍、意自ら通ず」と言いました。いや、昔の人ばかりではなくて、いまの読書家でも、たとえばアランは「繰り返し読むことのできないような小説ならば、はじめから読む必要がない」と言いました。(p.38)”

“彼はさらに一歩進めて、「およそ本を読むのにノートをとる必要はない。ノートをとらなければ忘れてしまうようなことは、忘れてしまったほうが衛生的である。忘れられないようなことならば、わざわざ紙に書きつけるには及ばない」とまで言ったのです。(p.38)”
引用 「読書術」
いささか暴論のように聞こえます。ただ、よくよく考えてみると、自分にとっていい小説というのは、繰り返し読みたくなるものです。
表現が秀逸で真似したくなる、場面がありありと浮かんでくる、共感できる、そういった小説に出会うと、繰り返し読みたくなります。
「ノートを取らなければ忘れてしまうなら、忘れてしまいなさい。」も、現代であればなかなかの煽り文句のように聞こえます。

アランを引き合いに出して、筆者は速く読むことだけが読書じゃないと説いているのでしょう。古典は精読に向いていると書きましたが、それは
“いまとは違った言葉で、違った社会で、違った読者にあてて書かれた本のなかから、今日の私たちにとっても生きている何者かを汲みとるためには、その本との長いつきあいがいつようであるのかもしれません。(p.39)”
引用 「読書術」
という筆者の考えによるものです。古典を読んで、現代に通じるものの本質を理解することで、自分を発見することを筆者はあなたに勧めています。
読書術

3つめの読書術は、「本を読まない『読書術』」です。どっちだよ!!と突っ込みたくなりますが、それには訳がありました。
ものごとに即して知識の根本をとらえ、枝葉末節は忘れて暮らすとでも言いましょうか、その場にのぞんで適当に補ってゆく。他人の意見に右顧左眄(うこさべん=あたりの情勢をうかがってばかりいて、決断しないこと。)しないというゆき方です。(p.99)
引用 「読書術」
「読む目的をはっきりさせて、1冊読んでだいたいのことが分かっていればよい、あとは必要に応じて補いなさい。」ということではないでしょうか。それから、書評を利用した方法も勧めています。
いくつかの書評を合わせて読むことで、ある程度まで理解できます。それから、人づてに聞いたり、要約を利用したりするのも手です。また、読んだふりをするのもよいです。読んだ振りをしているうちに、読むようになるからです。

読破術。
筆者は、「むずかしい本を読む『読破術』」についても書いています。難しい本を読めるようになりたいと思ったことはありませんか。わたしも難しい本を読めるようになりたいので、興味をもって読みました。
この章の冒頭、こう書かれていました。
“わからない本は読まないこと”
わたしは、「確かに!!」と納得しました。よくよく読み進めていくと、なぜ難しいと感じるのかについて書かれていました。それは、
本を書いている筆者の表現が分かりにくい。
前提となる知識や経験が読み手側(あなたやわたし)にない。
からなのです。本を書いている筆者の表現の特徴は、カタカナや漢字がやたらに多いことだそうです。書いている本人が意味を噛み砕けないから、カタカナや漢字に頼らざるを得ないのだそうです。
一方で知識や経験がないことに関しては、あなたやわたしの事前準備でなんとかなります。

また、難しい表現であれば、事前に調べるなどして知識を補うことで理解することができるようになります。準備をしているから、本から情報が浮かび上がってきて、読み易いと感じるようになるのです。
著者「加藤周一(かとう・しゅういち)」氏について
1919年東京都生まれ。
評論家。
医学博士。
※肩書は当時のものです。
書物の裏表を知りつくした著者が読書の極意を明快に指南し、読書と共にある人生のよろこびを語る。読書を愉む技術の徹底指南の本だそうです。

本の概要

本の概要
- タイトル: 読書術
- 著者 :加藤周一(かとう・しゅういち)
- 出版社 :岩波現代文庫
- 初版 :2000年
- ページ数:218p
目次
1 どこで読むか
寝てもさめても
幾山河
2 どう読むか、その技術
おそく読む「精読術」
はやく読む「速読術」
本を読まない「読書術」
外国語の本を読む「解読術」
新聞・雑誌を読む「看破術」
むずかしい本を読む「読破術」
まとめ
「今も昔も読書の本質は変わらない。」ことを、わたしはこの本を読んだ後に思いました。事前の準備ができていれば、速く読むことも、難しい本を読むことも、逆に読まなくてもよいことも自分で選べることができるのではないかと考えました。
あなたも、この本を読んで読書の本質を知ることから始めてみませんか。