

どうも、yossyです。
あなたは、ビジネスや研究の分野で、時間をかけたわりに、報われなかったなと感じたことはありませんか。
わたしも、学生の頃、何時間もかけて実験のデータをとったことがあるのですが、がんばったなという達成感はあってもどこかむなしさのようなものを感じた覚えがあります。
本屋さんを歩いていると、1冊の本が目に入ってきました。やるべきことが100分の1になるというコピーに惹かれ、読んでみることにしました。
「犬の道」に入らず、イシューを立てて行動する
その理由を、深掘りしていきます。(ネタばれあります。ご注意ください。)
目次
「犬の道」に入らず、イシューを立てて行動する。
この本を1回読み終わった後にもった印象は、「難しい」でした。知らない言葉が多いのと、ビジネスに対する経験がないのでイメージが湧いてこなかったからです。なので、そのあと、3回読みました。(笑)
まず、タイトルにある「イシュー」。筆者は、”知的な生産活動の目的地となるもの(p.3)”と定義しています。わたしは、問題解決のゴールととらえました。イシューを伝えられた側が、次に何をしたらよいのかが分かればよい、そうとらえました。
次に「犬の道」です。筆者は、労働量によって生産性をあげようとすることと書いています。いわゆる、ブラック企業的な働き方と言えば、分かりやすいかもしれません。
つまり、必要最低限の労力と時間で、最大限の成果を出すことを目標とすればよいと言えるのではないでしょうか。
では、どのようにして、「イシュー」をつくりあげていけばよいのでしょうか。
目次を見ることで、ヒントが見えてきます。
本の概要
本の概要
- タイトル:イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」
- 著者 :安宅和人(あたか・かずと)
- 出版社 :英知出版
- 初版 :2010年
- ページ数:248p
目次
はじめに 優れた知的生産に共通すること
序章 この本の考え方―脱「犬の道」
第1章 イシュードリブン―「解く」前に「見極める」
第2章 仮説ドリブン(1)―イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
第3章 仮説ドリブン(2)―ストーリーを絵コンテにする
第4章 アウトプットドリブン―実際の分析を進める
第5章 メッセージドリブン―「伝えるもの」をまとめる
おわりに 「毎日の小さな成功」からはじめよう
イシューを立てる。
見極める
目次の順に沿って行けば、イシューを立てることができます。もう少し、具体的に見ていきましょう。
「何に答えを出す必要があるのか」という議論からはじめ、「そのためには何を明らかにする必要があるのか」という流れで分析を設計していく。分析結果が想定と異なっていたとしても、それも意味のあるアウトプットになる確率が高い。「そこから先の検討に大きく影響を与えること」に答えが出れば、ビジネスでも研究でも明らかな進歩となるからだ。(p.45)”
引用 「イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」」
まず、何となく課題を解決しようとするのではなく、「何のためにやるのか」をメンバーが共有できるようにしておくことが大切になってきます。
そうすれば、方向性を見失うことがありません。
そのうえで必要になってくるのは、「仮説を立てる」ことです。仮説がないと、プランを立てることも検証することもできません。それから、「言葉に落とす」ようにします。
「言葉に落とす」ことで、深層心理に刻まれますし、メンバーで共有することができます。日本語は、主語がなくても伝わることが多いのですが、主語を入れ、対象をはっきりさせることが大切だと筆者は言っています。
「イシュー」がなんとなくで決まってしまわないようにするために、筆者はよい「イシュー」として3つの条件をあげています。
本質的な選択肢である…先の方向性に大きく影響を与える。
深い仮説がある…常識を覆すような洞察、新しい構造がある。
答えを出せる…現在の自分の技術・状況で答えを出せる。

ストーリーラインづくりと絵コンテづくり
「イシュー」を見極めたら、生産性を大きく向上させる作業を行います。それが、「ストーリーラインづくり」と「絵コンテづくり」です。
“最終的に何を生み出すのか、何を伝えることがカギとなるのか、そのためにはどの分析がカギとなるのか、つまりは活動の全体像が明確になる。(p.103)”
引用 「イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」」
まず、「イシュー」を答えを出せるサイズにまで分解します。分解は”where””what””how”に沿って行っていきます。このとき、自分の視点を加えることを忘れてはいけません。
「最後にどんな答えを望んでいるか」から考え、必要なことを何度も考えることが分解のポイントになります。
次に、「イシュー」を検証する「ストーリーライン」をつくります。このとき効果を発揮するのが、「WHYの並び立て」あるいは「空・雨・傘」です。
「WHYの並び立て」は文字通り、なぜを問いていきます。「空・傘・雨」は、課題の確認ー課題の深掘りー結論と進めていく方法です。
それから「絵コンテづくり」です。筆者のいう絵コンテとは図やグラフのことを指しています。どんな分析結果があれば納得させられるかという視点でつくり上げていきます。
気を付けなけらばならないのは、”「どんな分析結果がほしいのか」を起点に分析イメージをつくる(p.144)“ことです。絵コンテをつくるときも、この逆算思考を忘れてはいけません。では、どんな分析ができればよいのでしょうか。
それは、”どのような軸で何と何を比べるのか、どのような条件の仕分けを行うのか(p151)”です。比較できることが、何より大切になってくるのです。さらに、受け手が数字などで具体的にイメージできたり、どうやってやったらよいか方法を明らかにすることが大切です。
分析を進め、伝えるものをまとめる。

「絵コンテづくり」を終えたら、いよいよ分析を進めます。このときに気を付けることは次の2つです。
- どんなストーリーにもカギとなる前提がある。
- 自分たちの仮説が正しいと言えることばかり集めない。
これらを押さえていないと、方向性を誤ってしまいかねません。あとは、いくつもの手法をもち、スピードを重視して分析を進めればよいのです。最後に、「伝えるもの」をまとめます。まとめる際に意識することを筆者は次のように書き表しています。
どんな話をする際も、受け手は専門知識はもっていないが、基本的な考えや前提、あるいはイシューの共有からはじめ、最終的な結論とその意味するところを伝える、つまりは「的確な伝え方」をすれば必ず理解してくれる存在として信頼する。「賢いが無知」というのが基本とする受け手の想定だ。(p.206)
引用 「イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」」
造りこんだストーリーラインが、論理構造はしっかりしているか、話の流れが磨き込まれているか、エレベーターテストに備えているかを確認します。

著者「安宅和人(あたか・かずと)」氏について
1968年富山県生まれ。
2012年、ヤフー株式会社CSO。
2018年より慶應義塾大学情報環境学部教授。
安宅和人氏は、ビジネスであろうとサイエンスであろうと「本当に優れた知的生産には共通の手法がある」ということに気づかれ、この本を出版されたそうです。

まとめ
「犬の道」に入らず、イシューを立てて行動することは、実際にやってみることは難しいが本質はシンプルだと思いました。ものずごくざっくり言うと、仮説を立てて検証し、結論を導き出すという理科的なアプローチだなと感じたからです。
文章は、多くの章やトピックで、結論ー例示ー結論という構成になっており、それに気が付いてからはすっと読めるようになりました。難しい表現が多いですが、読み込んだり調べたりすることで理解できるようになります。
あなたも、この本を読んで、知的生産のレベルを上げてみませんか。